身体障害のある利用者がわいせつ目的で訪問介護ヘルパーに睡眠導入剤を飲ませる。悪質で卑劣な性犯罪に、事業所の対応は

わいせつ目的でヘルパーに睡眠導入剤を飲ませる

訪問介護利用者がヘルパーに睡眠導入剤を飲ませ、準わいせつ致傷容疑で書類送検へ

 大阪府貝塚市の身体障害のある男(33)の自宅で昨年から今年夏にかけ、介護に訪れていた女性らが相次いで意識混濁状態に陥った事件で、男が「健康にいい」などと言って、女性らに睡眠導入剤入りの飲料をすすめていたことが10日、捜査関係者への取材で分かった。男があらかじめ別の介護担当者に、自分用として飲料を作らせていたことも判明。介護者が立場上断りづらい状況を利用して犯行に及んでいた疑いがあり、大阪府警は詳しい状況を調べている。
 男は「睡眠導入剤を飲ませた。体を触りたかった」などと供述。府警は男の障害の程度を考慮して任意で捜査を続け、準強制わいせつ致傷容疑で書類送検する方針。
 捜査関係者によると、男は7月28日、介護事業者から派遣された20代女性に、睡眠導入剤入りの飲料を飲ませるなどした疑いがある。男は首から下がほとんど動かせず、睡眠導入剤入り飲料を別の介護担当者に作らせ、ダイエット効果があるなどとして市販されているドリンクと混ぜたうえで女性に飲ませていたという。
 女性はその後、意識混濁状態となり、男宅から約300メートル離れた民家の外壁に軽乗用車で衝突。女性の尿から睡眠導入剤が検出されたことなどから、府警が捜査したところ、昨年10月以降、同じ事業者から派遣された複数の女性が、意識混濁状態に陥るなどしていたことが明らかになった。

産経新聞WEBより

事件の概要

33歳の利用者ということで、障害のサービスを利用されていたようです。

別の記事を見ると、首から下を自由に動かすことができないということで、身体障害でサービスを利用しているので、居宅介護か重度訪問介護かいずれかのサービスを利用していたのでしょう。

女性ヘルパーが訪問した際に、睡眠導入剤入りのドリンクを飲ませたと。

別のヘルパーに自分用として睡眠導入剤入りのドリンクを作らせていたんですね。それをヘルパーに飲ませたということです。ドリンクを作ったヘルパーもまさかこのようなことに使われるとは考えてもいなかったのかもしれません。

情報共有で事件を防ぐことはできなかったのか

こういった事件を防ぐことは訪問介護事業者にできないのでしょうか。

防ぐことができるポイントはいくつかあったはずです。

複数のヘルパーが意識混濁に陥る

昨年10月以降、同じ事業者から派遣された複数の女性が、意識混濁状態に陥るなどしていたことが明らかになった。

産経新聞WEB

このヘルパーが被害にあうまでに、複数のヘルパーが同じように意識混濁状態に陥っていたということです。

このヘルパーだけではないということで、余罪もいくらでも出てきそうですね。睡眠導入剤の効果は人によって異なるので、普段から飲んでいる人であればそんなに効果はなかったかもしれません。

ただ、意識混濁になった人が複数いるということで、そういったことを共有できていなかったのでしょう。

ヘルパー自身が、自身の体調不良の問題と思ったり、そのままやり過ごしていたのかもしれません。

そういった情報を共有することができれいれば、少なくとも警戒することができたのではないでしょうか。女性ヘルパーを訪問させることをストップするなどの方法もとれたでしょう。

睡眠導入剤入りのドリンクを作っている

もうひとつ、この睡眠導入剤入りのドリンクは別のヘルパーが作っています。

睡眠導入剤入り飲料を別の介護担当者に作らせ、ダイエット効果があるなどとして市販されているドリンクと混ぜたうえで女性に飲ませていたという。

産経新聞WEB

つまり、このドリンクに睡眠導入剤が入っていることを知っているヘルパーもいるということです。

このドリンクを作ったヘルパーに悪意があったかどうかはわかりませんが、同じ事業所内でそういった情報を共有することもできたでしょう。手順書の中に落とし込んでおくことや、メモや記録に残すことなどもできたはずです。

睡眠導入剤入りのドリンクがあるということを認識できていれば、危機回避をできたのではないでしょうか。

いずれにしても、事業所内での情報共有ができていればこういった事件を防げた可能性はあるはずです。

準わいせつ致傷ではなく、殺人未遂に

それにしても、はっきりいって、悪質すぎます

いたずら目的とか、触ってみたかったとか、そういうレベルの問題ではありません。

悪質で卑劣な性犯罪です。

ただ、性犯罪だけではありません。

車を運転してきていることはわかっていたでしょうから、睡眠導入剤を飲ませて車を運転させたら事故を起こす可能性だって当然わかるはずです。

外壁への衝突で軽傷だけで済んだから重くとらえられないかもしれませんが、運転して意識もうろうとする中で、人をはねてしまうかもしれなかったし、もっと大きな事故になりヘルパーさんの生命を脅かすかもしれなかったのです。

そうなることをわかっていたのであれば、それは故意の殺人未遂です。

認識できていたのであれば、身体障害を持っていたとしても、必要以上の配慮をすることはなく、実名報道も含めた対応をすべきではないでしょうか。むしろなぜ実名報道になっていないのかが不思議です。

過去には同様の事件で懲役16年

過去にもこのような事件がありました。

自宅を訪れた介護ヘルパーら女性6人に睡眠剤を混ぜたコーヒーなどを飲ませて襲ったとして、準強姦(ごうかん)と準強姦未遂などの罪に問われた無職千葉政一(まさいち)被告(59)の判決が7日、大阪地裁であった。横田信之裁判長は「女性の人格を踏みにじった卑劣な犯行だ」と述べ、懲役16年(求刑懲役20年)を言い渡した。
 判決によると、千葉被告は2008年8月~09年9月、脳梗塞(こうそく)で寝たきりの内妻の世話をするために大阪府茨木市の自宅を訪れた介護ヘルパーや保険外交員ら6人に対し、睡眠剤を混ぜたコーヒーやビール、お茶を飲ませるなどして性的暴行を加えた。

 被告側は「承諾を得たうえでの行為だった」などとして一部無罪を主張していたが、横田裁判長は検察側の主張をほぼ認め「刑事責任はきわめて重い」と判断した。

卑劣な犯行です。これも少なくとも6人の被害者が出ています。こうなるまでに何らかの対応ができなかったのでしょうか。

この事件も大阪ですね。

この事件では59歳の男性利用者。まだこちらも若い男性利用者です。こちらは準強姦の容疑となっています。

性暴力・セクハラについては対応マニュアル策定やケースカンファレンスなども含めて事業所の対応が求められます。

訪問介護をする人がいなくなる

このままでは訪問介護をする人がいなくなります。

若い女性ヘルパーなんてほとんど見かけなくなりました。今回の被害者は20代の女性ヘルパーということでしたが、そんなに若いヘルパー珍しいですよ。

若く将来のある世代が、この仕事をしたいと思ってもらえるような環境にあるかというと、残念ながらそうではないというのが現状です。

このようなリスクがあると考えたら、この仕事を選ぶ人はますます少なくなってしまうのではないでしょうか。非常に残念なことです。

今日のような台風でも駆け回ってくれている訪問介護のヘルパーさん。こういった方々がいて初めて利用者の生活が維持されているのです。

一方で、障害者の性の問題も

ただ、一方で障害者の性の問題が置き去りにされている事実も忘れてはいけません。

身体障碍者であっても、この容疑者は33歳。男性です。性欲も当然あるでしょう。

ただ、それを消化する場がなかったりすると、自身の性欲を自分のいる環境で満たそうとすることがあります。それが性暴力・セクハラ、そして犯罪であったとしても自制できない方もいます。

それを風俗であったり、きちんと消化できる手段を持っていてアクセスできるかということが、その利用者の人格などにも大きく影響してくる。ただ、それに対して閉鎖的だというのが今の社会ですよね。

ホワイトハンズのような射精という行為の処理を行う団体もありますが、それもマンパワーの問題もあり限界があります。

こういったことにきちんと向き合うことも支援者として必要なことだと思います。同性の支援者もいたはずですから。支援者側にそういった理解や情報があるかどうかも重要になってきます。

制度でがんじがらめになった中、支援する側にできることにも限界があります。

坂爪真吾
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リリー・フランキーが主演した映画パーフェクトレボリューションは障害者の性や恋愛をテーマにした映画ですね。

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許されない犯罪ですし、もちろん厳罰を望みます。

利用者という立場を利用して、ヘルパーの生命や人権を踏みにじる行為は絶対に許されません。

一方で、同じような犯罪が繰り返されないよう、障害を持つ人の性についても向き合えるオープンな社会に成熟していくことを期待しています。