介護老人保健施設それいゆでの連続死傷事件、容疑者逮捕。

介護老人保健施設それいゆ事件、容疑者逮捕

以前から何度かお伝えしてきた事件ですが、岐阜県高山市の介護老人保健施設で起こった連続死傷事件の容疑者が逮捕されました。

介護老人保健施設それいゆ 連続死傷事件

連続死傷事件の概要

まずは事件を簡単に振り返ってみましょう。

一昨年、平成29年の7月末から、介護老人保健施設それいゆの入所者が相次いで不自然な外傷などを負い、 うち3名がなくなるという事件が起こりました。

  • 7月31日:男性(80歳) デイルームで食事中に食べ物を詰まらせて倒れ、搬送先の病院で死亡。
  • 8月 6日:女性(93歳) 部屋に倒れており、頭がい骨骨折・脳挫傷と判明。搬送先の病院で死亡。
  • 8月12日:女性(87歳) 顔面蒼白、胸骨骨折による外傷性血気胸と判明。搬送先の病院で翌日死亡。
  • 8月15日:女性(91歳) 肋骨骨折など、入院。
  • 8月16日:女性(93歳) 肺挫傷、入院。

5人を担当していた男性職員は8月17日に施設側の要請により退職しています。

施設を運営する法人の理事長も会見で、事故である可能性を残しつつも、人為的なものである可能性についても否定しませんでした


意図的なものに対して、100%否定する根拠がないです

医療法人「同仁会」折茂理事長会見より


特定の人が関わっているとしたら非常な問題だが、断定も否定もできない

医療法人「同仁会」折茂理事長会見より


事故か意図的のどちらか。五里霧中の状態です

医療法人「同仁会」折茂理事長会見より

退職した男性職員による意図的な行為があったと、もしくは何らかの関与はあったと施設側も認識していたのです。

その男性職員が今回逮捕された小鳥剛(おどりたけし)容疑者です。

なぜ逮捕にこれだけ時間が必要だったのか

事件が起きたのが7月末から8月16日にかけて。

そして小鳥容疑者が退職したのが8月17日。

この時点で容疑者としてすでに捜査対象になっていたであろう小鳥容疑者の逮捕まで一年半もの時間を要したのはなぜだったのでしょう。

ひとつは、決定打となる証拠がないということでした。

この施設の監視カメラの映像を記録するレコーダーのハードディスクがなんと4台も故障していたのです。

何者かによって破壊された可能性が高いとみられていました。

監視カメラ映像などもないため、状況証拠しかありませんでした。

 小鳥容疑者はこれまでの本紙の取材に対し、関与を否定。県警は、施設職員の話や医師ら専門家の意見などさまざまな証拠を一つずつ集め、「事故ではそうしたけがが発生し得ない」と刑事事件と判断した。

「発覚1年半、状況証拠積み上げ 高山元介護職員逮捕 」岐阜新聞Web

つまり、専門家による見解や、施設職員からの聞き取りを重ねていく中で、事故の可能性が否定できた。つまり故意によるもの、刑事事件として判断。

そこで、まずは傷害容疑での逮捕に踏み切ったということです。

小鳥容疑者とはどんな人物か

気になるのが、この小鳥剛容疑者とはどんな人物なのか、ということです。

現在33歳。

事件のあった介護老人保健施設それいゆに勤務する前にも、市内の別の介護老人保健施設でも勤務していたようですが、そこでもこんなトラブルがあって退職しているようです。

 逮捕された小鳥容疑者は15年10月~16年7月、高山市内の別の介護老人保健施設でパート職員として勤務していた。この施設を運営する医療法人の幹部によると、試用期間中だったが他の職員とのトラブルがあったほか、入所者に対して暴言を吐いたり、介助が乱暴だったりしたため、本人の同意を得た上で辞めてもらったという。

「傷害容疑で逮捕の元職員 前の施設で暴言やトラブル 」Yahoo!ニュース

退職後、小鳥容疑者はブログを開設しています。

30代男性元職員のひとりごと

というタイトルでブログを運営していましたが、現在は削除され、キャッシュも残っていないようです。

そこに書かれていた内容は、事件の関与への否定であったり、組織ぐるみで自分を悪者に仕立て上げようとしている、といったものだったようです。

退職後は名古屋市に移り、建築関係の会社に勤務していたようです。

今後の事件の展開は?

容疑者の逮捕に至りましたが、現時点では、状況証拠の積み重ねでしかありません。

そもそも動機は何だったのか。

これからの捜査でその事件の全容が解明されることを願います

ツイッターの反応

追記:続報・「それいゆ事件」。否認する容疑者

事件から二年経ち、公判に向けての準備が進められています。

中日新聞では現状についてこう解説しています。

中日新聞 CHUNICHI Web
<介護の現場は 「それいゆ」事件から2年>(上) 法廷から
https://www.chunichi.co.jp/article/gifu/20190827/CK2019082702000019.html
 「意思疎通が難しく、思い通りにいかず、いらいらと不満が少しずつ積み重なっていた」。岐阜地裁多治見支部の法廷に立った可児市の元介護施設職員の男性(47)は、た…

 介護現場の実態に目が向けられたきっかけは、高山市の介護老人保健施設「それいゆ」で二〇一七年、入所者の男女五人が相次ぎ死傷した事件の発覚だった。うち女性二人への傷害致死と傷害の罪に問われた元職員小鳥剛被告(33)=名古屋市南区=は否認。現在、裁判員裁判に向けた公判前整理手続きが続く。
 高齢者は増える一方、多くの介護現場は人手不足で疲弊する。県介護福祉士会の浅井タヅ子会長は「経営者が黒字化ばかり考え、素晴らしい能力と志を持って入ってきた職員が現場で生かせず辞めてしまっている。現場を支える中間層の職員をしっかり育て、職員自身に自信を持ってもらうことが必要」と指摘する。
     ◇
 高山市の介護老人保健施設「それいゆ」で高齢の入所者五人が相次いで死傷した問題が発覚してから、今月で二年を迎えた。社会的に大きな関心を呼んだ事件の後も、介護職員による虐待は後を絶たない。どうすれば悲劇を防げるのか二回に分けて考える。

中日新聞ウェブ

すでに実名報道もされているのですが、容疑者は否認しているようです。

確かに、決定的な証拠としては不十分ですが、それでは残された被害者家族やほかの施設職員の思いはどうなるのでしょうか。何の対策もできないまま、不審死が続いたものとして風化させるべきものなのでしょうか。