奈良県の介護老人保健施設こころ上牧入所者殺害容疑で第一発見者の元職員を逮捕

奈良県介護老人保健施設こころ上牧絞殺事件、容疑者逮捕

平成29年5月に起きたこの事件を覚えていますか。

奈良県上牧町の介護老人保健施設こころ上牧で入所者が絞殺されていたという事件です。

この事件の容疑者が逮捕されたというニュースについて紹介したいと思います。

介護老人保健施設こころ上牧での絞殺事件

事件の概要について振り返る

まずは簡単に事件について振り返ってみたいと思います。


奈良県上牧町の介護老人保健施設で、10日未明、入所していた97歳の女性が、自分の個室で死亡しているのが見つかり、警察が詳しく調べた結果、首を絞められて窒息死したことがわかりました。警察は殺人事件として、捜査を始めました。
10日午前3時20分ごろ、奈良県上牧町の介護老人保健施設「こころ上牧」の職員から、「入所者の女性の心臓が止まっている」と消防に通報がありました。
警察によりますと、この女性は入所している森本ミツヱさん(97)で、まもなく死亡が確認され、警察が遺体を詳しく調べた結果、首を絞められて窒息死したことが10日夜になってわかり、警察は殺人事件として捜査を始めました。
警察の調べによりますと、森本さんは自分の個室にあるベッドの脇の床に倒れていて、見つかる2時間ほど前に職員が巡回した時には、ベッドの上で寝ていて異常はなかったということです。
この施設を運営する兵庫県姫路市にある社会福祉法人のホームページによりますと、施設は平成18年に開業し、入所者の定員は80人で、5階建ての建物のうちの2階から5階部分に入所者用の居室が設けられています。
警察は施設の関係者などから話を聞くなどして、不審な人物がいなかったかどうか、捜査を進めています。

ここまでの情報を整理すると、このようになっています。

・発見は深夜3時20分、巡回中の職員が首を絞められて死亡している入所者(要介護3)を発見。
・首には紐のようなもので絞められた跡があった。
第一発見者は当直でフロアを担当していた男性介護職員(54歳)。
・2時間前の巡回時には異常がなかった。
施設は施錠されており、各階を移動するエレベーターも暗証番号でロックされており、職員以外移動はできない。
・当日の入所者は75名。事件のあった4階には19名が入所していた。
当直の職員は介護職員4名と看護師1名。来所者等はいなかった。
・個室ユニット型の介護老人保健施設。

ここまでは前回このブログで紹介した通りです。

早い段階から殺人事件として捜査を進めていたものの、容疑者の逮捕には至っていませんでした。

なぜ容疑者の逮捕に至らなかった?

すでに一年以上の月日が過ぎていても容疑者の逮捕に至っていなかったのはなぜか。

エレベーターは暗証番号でロックされて職員以外は移動できない、深夜で人の出入りもない、フロアには入所者19名と第一発見者の男性職員のみ。

こういった状況で、殺人事件として断定して捜査をしているのであれば、容疑者を限定すること自体は容易だったはずです。

しかし、それが逮捕に至らなかったのはなぜか。

容疑者逮捕。なぜこのタイミング?

平成31年2月5日、当直していた元職員で、第一発見者の元職員が逮捕されました


 奈良県上牧(かんまき)町の介護老人保健施設「こころ上牧」で2017年5月、入所者の森本ミツヱさん(当時97歳)が殺害された事件で、県警は5日、元職員の田島茂容疑者(56)(大阪市東淀川区)を殺人容疑で逮捕した。田島容疑者は事件当日、当直勤務をしていた。調べに対し「身に覚えはありません」と容疑を否認しているという。

 発表では、田島容疑者は17年5月9日夜~10日未明、森本さんの首を絞めて殺害した疑い。
 施設には75人が入所し、森本さんは4階の個室で生活。当日の当直勤務は職員5人で、田島容疑者が4階の担当だった。田島容疑者は10日未明、職員の看護師に「森本さんが倒れている」と連絡。看護師が部屋に行くと、森本さんがベッド脇の床の上で倒れていた。
 司法解剖の結果、死因は細いひものような物で絞められたことによる窒息死と判明。施設は夜間、外部から侵入できない構造で、県警は内部犯行の可能性が高いとみて職員や入所者らから状況を聞いていた。
 田島容疑者は15年10月から施設で勤務。事件後に休職し、17年9月に一身上の都合を理由に退職していた。施設内に防犯カメラはなく、田島容疑者の関与を示す直接的な証拠はないとみられるが、県警は、状況的に他に関与できる人物はいないと判断したという。
 施設によると、田島容疑者は入所者の食事や入浴などの世話をしており、目立ったトラブルはなかったという。事件後、第一発見者として県警から事情を聞かれた後、赤松将成施設長に「私は絶対に犯人ではない」と関与を否定。「当直の時に事件が起き、申し訳ない」と話していた。

「97歳絞殺容疑 元職員逮捕 奈良介護施設 事件当時「発見者」容疑を否認 」読売新聞ニュース

容疑者は事件以降、体調不良を訴えて介護老人保健施設を退職していました。

なぜこのタイミングの逮捕だったのでしょうか。

事件が起こった2~3か月後、任意聴取した際に、容疑者が関与をうかがわせる内容を話していたという情報もありましたが、それでも逮捕には至っていませんでした。


奈良県上牧町の介護老人保健施設で2017年5月、入所者の森本ミツヱさん(当時97)が殺害された事件で、殺人容疑で逮捕された元職員、田島茂容疑者(56)を県警が17年夏に任意で事情聴取した際、関与を示唆したとも受け取れる説明をしていたことが6日、捜査関係者への取材で分かった。
説明はあいまいで意味不明な点もあり、西和署捜査本部は慎重に捜査を継続。職員の勤務記録を精査するなどした結果、他に関与が可能な人物はいないと判断した。県警は6日、田島容疑者を送検した。
捜査関係者によると、田島容疑者は任意の取り調べに「もし他に殺害した人がいないならば、導師に導かれて(自分が)やったのかもしれない」との趣旨の話をした。田島容疑者のものとみられるフェイスブックには、過去に仏像の画像や精神世界への興味を示すような投稿があった。

「任意聴取で関与示唆 殺人容疑で逮捕の元施設職員、奈良 」日経新聞

この時点で逮捕に至らなかったのはなぜなのでしょう。

岐阜県高山市の介護老人保健施設の死傷事件の容疑者逮捕

2日前、岐阜県高山市の介護老人保健施設での入居者死傷事件の容疑者が逮捕されました。

思い出したかのように、この事件も急展開を迎えました。

立て続けに介護老人保健施設の元職員が入居者傷害・殺害の容疑で逮捕されるというニュースが連日報道されます。

ひとつの事件ではなく、関連性の高い事件は点と点でつながって、世間が受けるインパクトは非常に大きいものになるでしょう。

介護施設では虐待がある、介護職員の質は低い、男性職員はキレやすい、介護老人保健施設では虐待が起こりやすいのでは・・・。様々な疑念を世間は持つでしょう。

歩調を合わせたように一年以上前の事件が容疑者逮捕という展開を迎えることに違和感を覚えます。

特に、今回の事件は容疑者の特定もすぐにできていたはずで、岐阜県高山市の事件と違い事故という可能性は完全に否定されていたわけですが、これだけの時間を必要としていたのは理解に苦しみます

容疑者は犯行を否定しているということですが、今後の捜査の展開にも注目していきましょう。

元職員を釈放

逮捕された元職員ですが、処分保留で釈放されています。

 毎日新聞 
施設入所者殺人容疑で逮捕の元施設職員を処分保留で釈放へ 奈良 - 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20190226/k00/00m/040/103000c
 奈良県上牧(かんまき)町上牧の介護老人保健施設「こころ上牧」で2017年5月に入所者の森本ミツヱさん(当時97歳)が絞殺された事件で、殺人容疑で逮捕・送検された元施設職員の男性(56)について、奈良地検は勾留期限となる26日に処分保留で釈放することを決めた...

処分保留ということは、十分な証拠が出てこなかったということですね。

だとしたらなぜあのタイミングで逮捕したのかますますわからないですね。