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通所介護、次期改定へ機能訓練の更なる強化を検討 レスパイトの評価も焦点
利用者の重度化を防ぐサービスの展開を促していく ー 。このベクトルは次回も引き続き重視される見通しで、十分な取り組みを行わない事業所の扱いが焦点の1つになりそうだ。
厚生労働省は21日、来年度の介護報酬改定に向けた協議を進めている審議会で通所介護を俎上に載せた。現状や課題を整理したペーパーの中で、「心身の機能の維持が求められるサービス」と改めて強調。機能訓練を通じてその役割をさらに発揮してもらう方策を論点に掲げ、これから検討を深めていく構えをみせた。
委員の多くは肯定的に捉えているようだ。「報酬にメリハリをつけるべき」「リソースを重点化していくべき」。こうした意見が続出し、「しっかり機能訓練を行っていないところは減算を」との主張も飛び出した。一方で、レスパイトケアを軽視してはいけないと強く訴える声も噴出。いわゆる「介護離職ゼロ」を実現するという目標もあり、厚労省はバランスのとれた施策の立案を求められていく。
財務省の立場を支持したのは健康保険組合連合会の本多伸行理事だ。「このままいけば介護の費用はどんどん増えていき、やがて20兆円を超えるだろう。本当に負担していけるのか? 制度を続けられなくなってしまう」と問題を提起。「介護サービスの重要性は分かるが、それを持続させるには給付にメリハリをつけないといけない。しっかり機能訓練を行っていないところは減算する方向を考えるべき」と要請した。
このほか、日本医師会の鈴木邦彦常任理事は、「レスパイトケアのみの事業所は評価を抑え、自立支援の取り組みを評価していくことが必要」と指摘。協会けんぽの小林剛理事長は、「利用者の社会的孤立の解消や家族負担の軽減という要素も分かるが、制度の持続性を考慮すると機能訓練にリソースを重点化していくべき」と促した。日本看護協会の齋藤訓子副会長も、「レスパイトケアも重要だが、介護保険サービスである以上は生活機能の維持・改善に力を入れて欲しい。機能訓練を加算で評価する形が良いのではないか」と述べた。具体的な手法として、既存の「個別機能訓練加算」のさらなる拡充や要件の緩和を提案する委員もいた。
異論も出ている。民間介護事業推進委員会の稲葉雅之代表委員は、「社会的孤立の解消やレスパイトケアだって通所介護の本来の機能。日頃から日常生活圏域に根ざし、その機能をしっかり果たしてくれている事業所も数多く存在する」とくぎを刺した。認知症の人と家族の会の田部井康夫理事は、「レスパイトケアがないと家族は介護を続けられなくなる。どうしてレスパイトケアを低く評価するのか、非常に納得がいかない」と抗議。「レスパイトケアは質の高いサービスではない、というように論じるのはどうかやめて欲しい。家族の会としては切にそう願う」と語気を強めた。
毎回報酬改定のたびに通所介護の報酬体系についての議論が起こります。
なぜかって、介護報酬の中で通所介護が占める割合が大きく、費用額は年間1兆6700億円にも上ります。
4月の時点で「通所介護は利益率が高い」と財務省が結論付けてしまっていますので、
この先の議論がどのようになったとしても、通所介護の基本報酬は下げられることは間違いないでしょう。
通所介護の評価ポイントとしては、
機能訓練と時間延長などのレスパイトケアを具体的に挙げています。
では、デイサービスの生きる道として、どちらの道を選びますか?
機能訓練型
機能訓練に関しては本来通所リハビリが果たさなければいけない役割であったはずですが、その機能が不十分という意見も多く、
今回具体的にこのような提言がありました。
早期のリハビリ介入で改善が見込まれる場合は通所リハビリ、維持期の段階になったら通所介護へ移行というように役割分担を明確化した上で、施設基準と人員配置を考えていくべき
入院・外来リハ→通所リハ→通所介護への意向という矢印をつくる役割分担を考えているようです。
こういったプロセスを踏む場合の加算なども今後できるかもしれません。
基本報酬が減る分、機能訓練に関する加算要件が細かく設定され、
体制を整えることで単位数の大きな加算などを獲得できるようになるかもしれません。
レスパイトケア(時間延長等)
実はこのような意見が出てくることは予想していませんでした。
もともとこういった報酬改定の議論のたびに、
レスパイトケアはただの時間預かり、
長時間のお泊りデイサービスなどのサービスの質の低さを問題視してきた過去があります。
今回時間延長などの場合の報酬を増やす意見が出たものの、これには懐疑的な反対意見も多く、
どのような展開になるか非常に気がかりな部分ではあります。
ただ、この方向性で進んだ場合は、
デイサービスは機能訓練重視型か、長時間サービス(お泊まりデイも含む)のレスパイト型か、
大きく二つの方向性に分かれていく可能性があります。
専門職等の人員を増員し機能訓練で結果を残すか、
家族の負担軽減のために時間延長・レスパイトケアを積極的に展開するか。
いずれにしても、人材難にある介護の現場で、それだけの人材を確保できるのかどうか。
できないであろうことを見越してこのような議論をしているのかもしれませんが・・・。
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