障害者への虐待件数が過去最多。ぜ虐待はなくならないのか?

障害者虐待がなくならないわけは?

平成30年度の障害者虐待の件数が過去最多になっていたことがわかりました

これは、通報件数・虐待と判断されたケースともに過去最多となっており、虐待防止に向けての意識の高さが表れているものと思われます。

今回は障害者虐待について記事にまとめてみました。

障害者虐待の通報件数・虐待判断件数が過去最多。

昨年度、障害者が虐待を受けたと自治体が判断したケースがこれまでで最も多い2745件にのぼったことが、厚生労働省が20日に公表した調査の結果で明らかになった。

自治体に寄せられた相談・通報の件数は8577件。こちらも過去最多を更新している。

虐待と判断されたケースの内訳をみると、家族など「養護者」によるものが1612件、障害福祉サービス事業所などの職員によるものが592件、職場の使用者によるものが541件だった。これらはいずれも過去最多。

相談・通報件数の内訳は、養護者による虐待が5331件、事業所などの職員による虐待が2605件、使用者による虐待が641件となっている。

養護者による虐待をみると、警察による通報が31.8%で最も多い。以下、本人による通報(17.1%)や事業所などの職員による通報(15.6%)、相談支援専門員による通報(15.4%)と続く。加害者は男性が62.2%、女性が37.8%だった。

事業所などの職員による虐待をみると、その事業所の他の職員による通報が17.9%で最も多い。設置者・管理者による通報も12.6%で、これらをあわせると30.5%だった。加害者は男性が70.5%、女性が29.5%。

 

障害者への虐待、過去最多に 相談・通報も増加 背景に意識の高まりも |JOINT介護

厚生労働省の発表した今回のデータは養護者による虐待と、福祉施設従事者等による虐待とに分かれていますので、それぞれの傾向と特徴についてみていきましょう。

養護者による虐待についての傾向

このデータを見ると、相談・通報件数は養護者(主に家族など)による虐待に関する通報の件数が大きく伸びているように見えます

平成29年度の件数が4,649件だったのに対し、平成30年度は5,331件となっています。

ここ数年4,500件前後で推移していたので、急激に増えている印象です。虐待判断件数も増えていますが、通報件数に比べて市町村による虐待判断にいたるケースの数はそれほど増えていない印象です。

障害者福祉施設従事者等による虐待についての傾向

つづいて、福祉施設職員など、介護サービス事業者等による虐待の通報件数については年々上昇している印象ですが、2,605件となっています。虐待判断に至るケース数は592件と、こちらの件数の方が伸びは大きいようです。

どうでもいい話ですが、被虐待者巣数が平成29年度666人だったのに対して、平成30年度は777人になるというミラクル。施設内での虐待などで、複数の被害者が発生しているため、虐待判断件数よりも被虐待者数がかなり多くなっていることがわかります。

虐待が認められた事業種別については、 障害者支援施設が一番多く、全体の23%を占めています。続いて生活介護が17.9%、共同生活援助が15%、 就労継続支援B型が12.5%、放課後等デイサービスが11.8%と続いています。

やはり、入所系サービスや通所系サービスでの虐待認定件数が多く、逆に訪問系サービスの割合は少ないという傾向がみられます。

虐待通報経路。発信者の傾向。

虐待通報の発信元についてはこのように記載されています。

当該施設・事業所職員 (17.9%)

●本人による届出 (17.8%)

●家族・親族 (12.9%)

●設置者・管理者 (12.6%)

相談支援専門員 (9.0%)

一番多いのは施設・事業所の職員です。

相談支援専門員がこの中で5番目の9.0%となっています。介護保険のケアマネジャーが行うケアマネジメント業務と同様、相談支援専門員が利用者の権利擁護のための重要な役割を果たしていることがわかります

特に養護者による虐待の発見に限って言えば15%は相談支援専門員による通報になっていますので、家庭を訪問してモニタリングを行う相談支援専門員が虐待の兆候を発見する機会が多くなっているものと思われます。

相談支援が広がることで虐待の発見につながっているという側面もあるのではないでしょうか。

なぜ虐待は行われるのか?

必要なのは「教育・知識・介護技術」

市区町村等職員が判断した虐待の発生要因としては、「教育・知識・介護技術等に関する問題」が最も多い原因となっています。

虐待の一番の敵は無知なんですよね。

虐待の基準を知らない

対処方法を知らない

それなのに、虐待防止の研修って人気ないんですよ

研修に行くような意識の高い介護職は自分が虐待をしているなんて思うことないですから。ケアの質だの、新しいセラピーだの、業務の効率化には興味があっても、虐待防止や人権擁護についての関心は高いとは言えません。

虐待3要件が言えたら虐待防止研修はいらない、そんなわけないですよ。

俺は虐待をしていないから、じゃなくて、虐待が今後起きないようにするためには職員のストレスマネジメントも必要だし、職場環境・労働環境を改善することも必要です。チームの中で負担や困難さなどを気軽に共有できる仕組みや環境作りも必要です。アンガーマネジメントについても基本を知っておいた方が虐待を抑止できるはずです。

そして、虐待通報先やセーフティネットをどれだけ知っていますか?

虐待防止のためにできることはまだまだあります。

そもそも、介護職の仕事の根本は権利擁護です。

それが理解できないと、このような事件が繰り返されるのです。

もうひとつ、障害当事者が何が虐待を知らないことも問題です。

何が虐待とみなされることか、どこに通報するのか、そういった情報を知る機会も限られています。

もちろん、障害者虐待法では虐待を発見した人は通報する義務を持つことも覚えておきましょう。虐待者が誰であっても、これは義務なのです。

記事編集・監修

 

介護福祉ウェブ制作ウェルコネクト

居宅介護支援事業所管理者・地域包括支援センター職員・障碍者施設相談員など相談業務を行う。

現在はキャリアを生かした介護に関するライティングや介護業界に特化したウェブ制作業を行う。

障害者虐待がなくならないわけは?

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