この記事の目次
財務省がケアマネに物申す。価格競争が起きないのはなぜ?
社会保障の利用者負担の透明性確保?
また財務省がしゃしゃり出てきました。
財政制度等審議会・財政制度分科会で、社会保障についての検討が行われました。
詳細はリンク先、資料の88ページに掲載されています。
このページの内容を簡単に説明します。
介護で市場原理・価格競争を意地でも持ち込みたい財務省
簡単に言うと、財務省としては介護分野で市場原理・価格競争が働かないのはおかしい、と考えているようです。
そして、その原因として名指しされているのがケアマネジャーだということです。
介護保険は法定価格の介護報酬が設定されていますが、介護報酬として定められているのはあくまで上限価格であって、値下げをすることはできる。けれど、実際に値下げをしている事業所なんてないじゃないかと。
それはケアマネジャーが不当に事業所を紹介していて、料金の比較などをちゃんと説明していないからだと。価格競争が行われないのはケアマネジャーの説明不足が原因だと。
財務省に目の敵にされていますね、ケアマネ。財務省はケアマネになんか恨みでもあるんでしょうか。
ケアマネは利用者負担について説明をする必要がある
サービスを比較する上で、利用者負担の金額はひとつの判断材料になると思います。でも、価格だけで決めるものでもないです。
利用できるサービスは地域で選択肢が限られます。デイサービスには送迎範囲がありますし、訪問系サービスも距離が遠ければ受けることはできません。
もちろん、地域密着型のサービスや、総合事業のサービスなどは地域の縛りがあります。
すでに限定された選択肢の中から事業所を選択しなければいけないのですが、その中でデイサービスにも個性があり、価格という条件は決定に至るプロセスの中で優先順位としては低いものだという、ただそれだけのことなのです。ケアマネと事業所と利用者の間に何の不正があるのでしょう。
財務省は地域密着型通所介護をつぶしていこうと考えている?
ひょっとしたら、財務省としては利用料の比較を明確化することで、あらかじめ狙っているターゲットを攻撃しようとしているんじゃないでしょうか。
それは、そう、地域密着型通所介護ですよ。
地域密着型通所介護は小規模のデイサービスですが、大規模型と比較すれば介護報酬が割高なので利用者負担は大きくなります。
料金比較を明確にすることで地域密着型通所介護を選ばせないことができ、地域密着型通所介護を削減していくことができると考えているんじゃないでしょうか。
うがった見方だったらごめんなさい。
そもそもどこからどこまで説明をすればいい?
利用者負担については当然契約時にはデイサービス側も説明します。二度手間になるんでしょうけれど。
でも、ケアマネはどこからどこまで把握していればいいのでしょう。
利用者負担について、資料では「加減算の差等」と書いていますが、事業所の設定している加算や、処遇改善加算をいくつでとっているかとかはまだわかりますよ。でも、財務省の言う利用者本位というものは、デイサービスの食費がいくらだとか、日用品費がいくらだとか、そういった金額まで説明しろということでしょうかね。
いや、これ新規申請中とか、区分変更中のときどうするんでしょうね。要介護1だったらいくら、2だったら・・・。週に2回だったらいくらで、4月からはこの加算がつく可能性があるから・・・とか。朝までやってろ。
ADL維持向上加算とか、事業所評価加算とか、ケアマネとしては突然降ってくるようにやってくる加算もあるわけなので、地域の事業所の利用料を全部把握できるケアマネなんているんですかね。いまの介護保険、どれだけのサービスコードがあるか、財務省はわかっているんですかね。
そこまでいうなら行政が資料作って。
もうね、そんなん行政で資料作りましょうよ。それを利用者さんに配って見てもらいましょう。情報公表制度でも事業所の情報集めているんでしょ。何百ページになっても資料作っておいてください。それケアマネが利用者さんの家に持って行って説明すればいいんじゃないですか?
統一化された資料で説明して、それで利用者がどう選択するかを見てみればいいじゃないですか。それで利用者が自己負担の一番安い事業所を選ぶのかどうか。
介護は牛丼屋じゃないんですよ。
介護が必要になっても人として楽しい時間を過ごしたい、快適な時間を過ごしたい、誰かに必要とされたり認めてもらいたい。そんな思いを実現することや、それを応援したいという家族の思いを、価格だけで決めようとする利用者や家族がどれだけいるか、ちょっと考えてみればわかりそうなものですよね。
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