ケアマネにサービスの割合の説明を義務付け。

ケアマネに説明が義務付けられる2つの内容とは

居宅介護支援、サービスの割合の説明を義務化 厚労省方針 来年4月から

厚生労働省は来年4月の介護報酬改定で、居宅介護支援の事業所の運営基準を見直す方針を固めた。

以下の2点を利用者へ説明することを新たに義務付ける。

前6ヵ月間に作成したケアプランについて、訪問介護、通所介護、地域密着型通所介護、福祉用具貸与(販売)の各サービスの割合

前6ヵ月間に作成したケアプランについて、訪問介護、通所介護、地域密着型通所介護、福祉用具貸与(販売)の各サービスごとの、同一事業者によって提供されたものの割合

2日の社会保障審議会・介護給付費分科会で説明。大筋で了承を得た。新たな運営基準は年度内に示す。公正・中立なケアマネジメントの推進に向けた施策の一環。

介護報酬改定についての情報が次々上がってきていますが、今回は居宅介護支援の改正内容について一つ紹介します。

ちょっと書いてある内容わかりにくいかと思うので、かいつまんで説明します。

ケアマネは、4月以降、利用者に新たにこの2点を説明しなければいけないことになりました。

各サービスの利用割合

まずひとつめは6か月間におけるサービスの割合です。

訪問介護・通所介護・地域密着型通所介護・福祉用具貸与、この4つのサービスが対象になります。

ケアマネから利用者に、こんなことを説明することになりました。

私たちの事業所の利用者さんのうち、

・訪問介護を利用している人は30%

・デイサービスを利用している人は10%

・小規模のデイサービスを利用している人は20%

・福祉用具をレンタルしている人は50%

です。

へえ。

・・・だから。

利用者それぞれに状況も違うし、必要とされるサービスも違う。比較すること自体に何の意味もない。利用者はそれを聞きたいのか?

個別的なケアマネジメントとは全く関係ないんじゃないか?

そしてもうひとつ。

訪問介護、通所介護、地域密着型通所介護、福祉用具貸与(販売)の各サービスごとの、同一事業者によって提供されたものの割合

先に紹介した4サービスのうち、同一事業者によって提供された割合も利用者に示せというものです。

ケアマネはこんなことを利用者に説明します。

私たちの事業所を利用する方のうち、

・訪問介護を利用している人のうち、A事業所を利用しているのが40%、B事業所が20%、C事業所が20%、D事業所が10%、E・F事業所が5%ずつです。

・デイサービス利用している人のうち、G事業所を利用しているのが30%、H事業所が20%、I事業所が20%、J事業所が20%、K・L事業所が5%ずつです。

・小規模のデイサービスを利用している人のうち、M事業所を利用しているのが40%、N事業所が30%、O事業所が20%、P事業所が5%、Q事業所が5%です。

・福祉用具を利用している人のうち、R事業所を利用しているのが20%、S事業所が20%、T・U・V・W事業所が15%ずつです。

だから。

だからなに・・・?

すると、利用者がこう返します。

「すいません。私たち、訪問看護のサービスを利用したいと思っているんですけど」

はい終了。

利用者が求めているサービスは・・・

これ、利用者を全く見ていない運営基準の改定ですよね。

ケアマネジメントの公平中立性を保つために何かしようとしているのでしょうけれど、まったく利用者のことを考えていません

なぜ訪問介護・通所介護・地域密着型通所介護・福祉用具貸与の4サービスのみなのか。

じゃあ、小規模多機能型居宅介護や看護小規模多機能居宅介護もケアマネなのに公平中立性は保たれなくていいのか?

まったく意味が分からない。

断言できる。絶対に公平性とは逆効果しか生まない。

では、この運営基準の変更がケアマネジメントの中立・公平性を促進させるのかというと、答えは絶対にNOです。100%言い切れます

ケアマネが説明します。

ケアマネ「うちの事業所の利用者は50%がA事業所を使っていて、B・C事業所を使っている人はそれぞれ20%ずつ。残りはD・E事業所を利用している人です。」

利用者X「そうですか」

ケアマネ「でも、XさんにはH事業所が合うと思うんですよね。運動プログラムができて、入浴も個浴対応ですし、距離的にも近い。看護師も常勤なので心配な医療的ケアも問題ありません」

利用者X「紹介したことのない事業所を紹介するんですか?ケアマネさんはA事業所を信頼しているからA事業所の割合が多いんでしょ。A事業所にお願いしたいです」

ケアマネ「・・・」

はい、おしまいです。

ケアマネジメントには公平性も中立性も専門性も保たれなくなります。

ケアマネが一つの事業所を紹介するには、アセスメントがあって、ある程度の見通しの下に進めているプロセスがあります。

ツイッターでも書きましたが。

https://twitter.com/welconnect/status/1343197933915652096

もう一度言います。

今回の運営基準改定は利用者を全く見ていません。

こんな仕事許されていいんでしょうか。

パブリックコメントにぜひ意見を

納得いかない人はぜひパブリックコメントを上げてほしいと思います。

ただのアリバイ作りだとしても、発言すべきことはするべきだと思っています。

ケアマネ協会に期待するだけアホです。

受付締め切り日時は2021年1月8日23時となっています。

実績入力終わったらパブリックコメントしましょうや。

記事編集・監修

 

介護福祉ウェブ制作ウェルコネクト

居宅介護支援事業所管理者・地域包括支援センター職員・障碍者施設相談員など相談業務を行う。

現在はキャリアを生かした介護に関するライティングや介護業界に特化したウェブ制作業を行う。

ケアマネに説明が義務付けられる2つの内容とは

2 件のコメント

  • いまさらですが・・・。

    なんでこんな改定になったかというと、厚労省がしつこく会計検査院から、いわゆるサービス付きとか、ある特定の事業所が丸抱えで行ったりしている件の公平性について文句を言われてきて、苦肉の策で編み出した方式のようです。理屈じゃないんだよ、我慢してくれ、ということらしいです。会計検査院の顔を立てつつ、少しでも皆様に楽にしてもらうためにベスト3だけにしたんだけど、文句あるなら全事業所の割合説明しろにしちゃうぞ、ということらしいです。

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です