人手不足で特養が閉鎖?静岡県社会福祉法人ライト、特養3施設の閉鎖へ/追記あり

人手不足で特養がつぶれる?

特別養護老人ホームがつぶれることはない。そう思っている人も多いかもしれません。ただ、現実にもう社会は変わり始めています。

社会福祉法人という立場に胡坐をかいているだけは施設の運営は成り立たなくなる時代がやってきているのです。

静岡県の特別養護老人ホーム3施設が閉鎖の危機。

特養がつぶれる?その原因は。

静岡県で特別養護老人ホームなどを運営している社会福祉法人ライトが、特別養護老人ホーム3施設の閉鎖を検討しているというニュースが報道されています。

 社会福祉法人ライト(愛知県岡崎市)が静岡市内で運営している三つの特別養護老人ホームの閉鎖を検討していることが25日、関係者への取材で分かった。法人が同日、市内2カ所で説明会を開き、利用者の家族や職員らに伝えた。出席者によると、「経営難」を理由に挙げたものの、説明は曖昧だったという。家族から「急に転居先を探すことは難しい」と戸惑いの声が上がり、職員からは給料の未払いなどを危惧する訴えがあった。
 関係者によると、閉鎖の可能性が示されたのは「えん」(清水区三保、定員100人)、「ゆめ」(葵区羽鳥本町、同36人)、「ひかり」(同区羽鳥、同24人)の3施設。説明会で法人側は、介護人材の確保が難しく、入所者の受け入れに制限が生じたと話したという。閉鎖の時期など具体的な見通しは示さなかった。

静岡新聞

まだ施設の閉鎖時期については未定ということですが、すでに説明会を開いているので、閉鎖を検討しているというよりも、もう少し話は具体的な段階に来ているのでしょう。このままでいけば、閉鎖されることはほぼ間違いないと思っていいのかもしれません。

説明会ではその理由として「経営難」を挙げていたということです。

さらに、経営難に陥った理由として、介護人材の確保が難しく入所者の受け入れに制限が生じた、とも話していたということでした。

特別養護老人ホームが閉鎖する原因は、介護人材の不足によるものでした。

介護人材が足りない!特別養護老人ホームが利用者の受け入れを制限する。

基本的に、過疎地域などを除けば、特別養護老人ホームは利用者の確保で困ることはほとんどありません。

在宅介護が困難で、有料老人ホームやグループホームの費用を支払うことが困難な家庭はどこにだっています。

特別養護老人ホームの入所要件が原則要介護3以上となった今でも、特別養護老人ホームへの入所申し込みや入所待機者は途絶えません。

ただ、大きな問題になっているのが介護人材の不足です

今回閉鎖になる3施設のうち「特別養護老人ホームえん」は定員100床。100人の利用者を受け入れる施設です。入所利用者へのサービス提供による介護報酬や利用者が負担する自己負担分や食費・居住費など、収入を見積もることは簡単にできます。

問題はコストの部分です。特別養護老人ホームも含め、介護サービスの提供にあたって、コストのうちで最も大きなウエイトを占めるのは人件費です。

採用のための広告にかかる費用、人材派遣や人材紹介会社に支払う費用、さらに教育や研修、そして賃金等。

しかし、それでも人が集まらないのが今の介護業界なのです

そして、自分の理想からかけ離れていると感じたら介護人材はすぐにその職場を離れていきます。介護人材を求める職場はいくらでもあるのです。

転職を考える人

有料老人ホームライフコサージュ海老名を譲渡・ライフコサージュ岡崎を閉鎖

実はその前に、この社会福祉法人ライトではライフコサージュというブランド名で介護付有料老人ホームも運営していましたが、その2施設も失っています。

神奈川県海老名市に開設していた有料老人ホームライフコサージュ海老名は木下の介護のリアンレーヴ海老名に名称を変更しています。

2017年3月に、社会福祉法人ライト ライフコサージュ海老名から、株式会社木下の介護 介護付有料老人ホームリアンレーヴ海老名に変更しました。

看護プロ

さらに、岡崎市のライフコサージュ岡崎は閉鎖になっています

広大な敷地にゴルフ練習場を併設した有料老人ホームだったようです。

現在は閉鎖されているようで、介護情報サービスなどにも情報は掲載されていません。グーグルマップで見る限り建物はそのまま残っています。

どちらの施設も高級感を意識したものでしたが、地域ニーズに合わなかったのか、経営を継続することができなかったようです。

特に岡崎の有料老人ホームでは譲渡先が見つからなかったのは経営的に非常に大きな痛手だったのではないでしょうか。今回の3施設の閉鎖にも大きな影響を及ぼしていることは間違いないでしょう。

閉鎖した施設

介護する人にとって魅力的な施設を

介護される側にとって魅力的な施設を作りたい。

これは介護事業を行う人は、きっと誰もが考えることだと思います。

介護サービスの顧客満足度を高める、そして利用者やその家族がハッピーになれることが介護施設の目指すべき方向性であることは間違いありません

しかし、これからはそれと同様に、いや、それ以上に働く人・介護する人の満足度を高めることが重要になっていきます。

特別養護老人ホームは待っていても、待っていなくても利用者は来るのです。利用者の満足が得られなくても、特別養護老人ホームから退所する利用者はどれくらいいるでしょうか。もし、退所しても待機者の中から別の利用者が入所すればいいだけの話です。

地域での評判が悪くても、利用者はやってくるのです。

需要と供給のバランスなんてはじめからないのが特別養護老人ホームです。

それよりも、働く人にとって、どれだけ魅力的な施設になれるかが重要なのです

介護人材が集まる仕組みづくりを

いまや、介護人材が集まる仕組みを作ることが介護サービス事業者にとっての生命線です。

コストの高い人材派遣や人材紹介会社に依存しないでもそこで働きたいという人が集まる施設になるためにはどうするべきか。そこに目を向けていかなければいけません。

介護の仕事で転職しようと思っている人のアンテナに届くように、ツイッターやインスタグラムなどのSNSで情報を発信していくこともそのうちのひとつです。ウェブサイトを魅力的なものにしていくこともひとつです。

どのような事情かは分かりませんが、この社会福祉法人のホームページは2017年には閉鎖されていました。ウェブ上に残っているキャッシュでこの法人のサイトを見ると、掲載されているお知らせは求人票の掲載ばかりです。

求人票の条件だけを見て人は集まりません

自分がそこで成長できるか、ワークライフバランスを優先した働き方ができるのか、働いている自分をイメージさせることが重要です。

介護人材を採用するための戦略を立てていかなければ、社会福祉法人といえども未来はないのです。

人材確保に頭を悩ませている法人の皆様、ウェブサイトについてご検討の際には参考にしていただければ幸いです。

追記:ツイッターで家族や受け入れ先施設職員からの声

ツイッターではこの法人施設利用者の家族からのツイートもありました。

この方のご家族、受け入れ先も無事に決まったようです。よかったです。

そして閉鎖される施設から移る利用者の受け入れ先となっている施設の職員からもツイートがあります。

まだ受け入れ先が決まっていない方が多くいるということです。特養を探すということになると、かなり難しい状況かもしれませんね。

一日でも早く職員・利用者そして家族の皆様が安心できる決着を迎えられるように、行政も近隣市町村も含めて率先して動いてもらいたいですね。

追記:3特養閉鎖、入所者の133人の転居が終わる

続報です。

 社会福祉法人ライト(愛知県岡崎市)が静岡市内で運営する三つの特別養護老人ホームの閉鎖問題で、入所していた計133人全員の退去が23日午前、完了した。同市によると、大半が市内の別の特養に転居したという。
 3施設は「えん」(清水区三保、定員100人)、「ゆめ」(葵区羽鳥本町、同36人)、「ひかり」(同区羽鳥、同24人)。23日午前9時前、最も入所者の多かった「えん」で、最後の入所者の男性が別の施設へ施設の車で出発した。ある職員は「ほかの施設に行けたことは安心だが、今後どうなるのか不安もある」と複雑な表情を見せた。

(略)

 市によると、えんのほとんどの職員が31日付の退職願を提出した。一方、同法人は7日に同市や愛知県などが行った聞き取りに対しては「閉鎖するつもりはない」と説明したという。市の担当者は「法人を監査指導する愛知県などと今後も連携して情報共有を図る」とした上で「法人に対しては早急かつ明確な施設の運営方針の提示を求める」と述べた。

静岡の3特養閉鎖問題 入所者133人全員が転居終える

無事に全員の利用者の転出が完了したということです。

経営難による特別養護老人ホームの閉鎖。運営側は、退職する職員のみなさんや、新しい環境で生活する利用者、これだけ多くの人の生活を混乱させた事実を重く受け止めてほしいですね。

追記:運営法人、一転運営継続の方針に

すでに入居者133人全員が他の施設に転居した特別養護老人ホーム閉鎖問題、また大きな動きがあったので追記します。

静岡市の特別養護老人ホームの入所者が、退去を迫られた問題で新たな動きです。閉鎖を検討していた施設の法人が、「継続したい」と方針を一転させました。

この問題は、静岡市に3つの特別養護老人ホームを運営する、社会福祉法人・ライトが静岡市に施設の閉鎖を検討していることを伝え入所者133人全員が、他の施設に移りました。職員もすでに大半が退職し、今月15日に全員が施設を離れる予定です。しかし、きのう清水区の施設に法人の理事が現れ、施設職員に運営を存続する考えを示しました

法人:「今後ライトとしてやっていく。県と静岡市から要望があった

職員:「今後は再開するつもり?」

法人:「はい」

職員:「再開?再開するんですか?」

職員:「同じ名前でないと思う。こんな評判が悪くて」

法人:「現に静岡市はライトの名前でやってくれということなんです。」

職員:「変わっていただかないと、ここの施設にいたいと思っていても、そのままライトで運営されて理事も変わらないのであれば、職員は戻ってこないし新しいスタッフも業者も無理。」

法人「ライトは、施設の態勢を整えて運営再開を目指すと説明しました。」

それに対し、職員からは「今後についての意思を公に示してほしい」と声が上がったということです。

法人の施設訪問を知った静岡市の職員も姿を見せましたが、「市から存続を求めたことはない」と、法人に対して怒りをあらわにしました。

静岡市介護保険課・榊原純子課長 :「困惑どころか非常に憤りというか、(法人は)何を言っているのか。まずは法人側で方針を示していただかないと。どう協力したらいいのか支援したらいいのかわからない」

社会福祉法人ライト・理事:「お話することはありません」

閉鎖を検討していた施設の法人が一転継続の方針 静岡市の特別養護老人ホーム:静岡朝日テレビ

なんと、すでに入居者も全員退去し、大半の職員が退職しています。

それなのに、今頃になって施設の運営継続を法人側が表明しています。静岡市に再開を依頼されたということは少なくともないため、法人側の独断ではないかと思われます。

すでに退職した職員は次の仕事をしていると思いますし、入居者が返ってくることもないでしょう。資金不足で経営難になり、いつ閉鎖になるかわからない施設に帰ってくるなんてリスクしかありません。

人生の最後を迎える終の棲家に安心がなければ意味がありません。

人材派遣会社から派遣料未払いで提訴されているというニュースもあり、資金難はおそらく解決されていないと思われます。

いまになって継続するというのは理解に苦しみます。

利用者の生活を奪ったその責任の重さをまったく自覚していないと思っていいんじゃないでしょうか。