JR東海、踏切で列車事故の認知症高齢者遺族への損害賠償。その判決は。

認知症事故と損害賠償 介護現場に衝撃の判決

 ◇認知症老人が列車にはねられ死亡→地裁が遺族に720万円支払い命令

 ◇「行動を一瞬も目を離さず監視することなど不可能」…遺族から怒りの声

「ある判決」が介護の現場に衝撃を広げている。91歳(当時)の認知症の男性が線路内に入り、列車にはねられて死亡した事故。裁判所は遺族に対し「注意義務を怠った」として、鉄道会社に720万円を支払うよう命じた。認知症の老人は閉じ込めておけというのか--介護関係者からはそんな怒りの声すら聞こえてくる。

 JR東海から遺族が突然、手紙を受け取ったのは事故から半年後だった。<平成19年(2007年)12月7日に東海道線共和駅内(愛知県大府市)に人が入り、快速列車に衝撃し列車が遅れるという事故が発生しました。本件により弊社に別紙の通り損害が発生しております>。列車遅延による損害賠償の協議申し入れだった。

 別紙には「損害額一覧表」として、事故に対応した職員の人件費、他社に振り替えた運賃、払戻金など720万円の内訳21項目が列挙されていた。受け取った横浜市在住の長男(63)は「正直、驚きました」と振り返る。

 事故当時、男性は要介護4。介護なしでは日常生活が困難だったため、85歳(当時)の妻と、介護のために横浜市から近所に移り住んだ長男の妻が世話していた。男性が自宅を出たのは長男の妻が玄関を片付けに行き、そばにいた妻がまどろんだ一瞬のことだった。

 「手紙が届いた後、JRの要請で、かかりつけ医師の診断書と『認知症があり線路上に出たと考えられる』と認定した警察の死体検案書を送りました。重い認知症だった父に責任能力がないことはJRも分かってくれると思っていた。ところが、専門医の診断書ではないから疑いがあるなどと言ってきた」と長男。事故から1年後、JRから内容証明郵便で正式な賠償請求が届き、その後、裁判所を通じて不動産の仮差し押さえを申し立ててきた。こうした対応に「父の墓前に線香の一本でも上げてくれていたら……父をはねて殺しておいて」と怒りがこみ上げてきた。

 JRはどのような基準で列車事故の損害賠償を請求しているのか。JR東海広報部は「責任の所在や事実関係を十分に調査の上、原因となった方や遺族に、車両の修理実費、特急料金の払い戻し、他社への振り替え輸送の費用や人件費の増加分など、明確に因果関係が説明できるものだけ請求しています」と回答する。

 しかし、JRは「要介護認定4であっても病状を示すものではない」などと、責任能力があったと主張して提訴した。JR東海広報部は「損害の処理について繰り返し遺族の方に協議を申し入れたものの、残念ながら理解いただけず、熟慮を重ねた結果、裁判所の公平公正な判断に委ねることとした」とコメントする。

 提訴から3年半。名古屋地裁(上田哲裁判長)が今年8月に出した判決は、男性の認知症は重く、事故当時の責任能力はなかったとJRの主張を退けた。ところが、その一方で、介護していた妻に「まどろんで目をつむり、夫から目を離していた」と過失による賠償責任を認めた。長男については「法定監督義務者や代理監督者に準ずる」と位置付け、民間施設やホームヘルパーを利用しなかったと指摘して賠償を命じた。

 長男は「父親は住み慣れた自宅で生き生きと暮らしていた。行動を一瞬も目を離さずに監視することなど不可能。こんな判決が確定したら、子どもが親の面倒を見られなくなる。介護を頑張った者ほど責任が重くなるのは理不尽です」と訴える。遺族は高裁に控訴。今でも父親を在宅で介護して良かったと思っている。

 認知症の人と家族の会(本部・京都市)の高見国生代表理事は「こんな判決を出されたら家族はたまったものではない。認知症の人はどこかに行きたい、ここを出たいと思い立ったら必死に出て行く。家族がどれほど注意していても徘徊(はいかい)は起きてしまう。家族の責任を問うべきではない。何らかの公的補償制度を検討すべきです」と訴える。

かなり長い引用で紹介しましたが、みなさんはどう思われましたか?
ホームヘルパーや民間施設を利用しなかったから、
こういった事故が起きたとして家族の責任を問う内容の判決となっています。
ただ、ホームヘルパーを利用するとしてどのくらいの時間ヘルパーを利用しろと言うのでしょう。
民間施設(有料老人ホーム?)を利用するとしてどのくらいの金額を自己負担しろというのでしょう。
あまりに介護の現実から乖離している判決です。
介護保険制度で介護サービスを利用すれば家族の負担はなくなるとでも思っているのでしょうか。

はたして高裁はどのような判決を下すのでしょうか。

3 件のコメント

  • たとえば、小さな子供が一人で踏切で事故に遭い電車に遅れが生じたような場合、これも親の保護責任が問われるのでしょうか。聞いたことがありません。問われるのは鉄道管理会社側の安全管理責任だと思います。
    子供の犠牲は親の責任が問われないのに、認知症の老人は家族に責任があるとする判決には、矛盾を感じます。かわいい子供でも認知症の老人でも、等しく尊い命です。勝ち取った賠償金で安全対策を施し、老人にも子供にも安全な社会にしていただきたいですね。

    • 「聞いた事がない」というのは無知です。実際,子供が踏切に侵入し列車にはねられ死亡したりすれば損害賠償は親に請求されます。色々な事を言う人がいますが鉄道輸送の重要性がまるで解っていません。鉄道は時間通り且つ安全に人や荷物を輸送しなければなりません。その為には踏切を通行する全ての人がルールを守り鉄道の安全運行に協力しなければなりません。これ絶対です。鉄道会社は気象条件や運行ルート上の様々な出来事に常に対処して安全運行に努めています。踏切では一旦停止と安全確認が当然のルール。見通しが悪い,警報機がないから危ない…なんて言い訳!汽笛だって鳴らす訳ですから何かしら手掛かりは有る筈です。危ないから注意するんでしょ?事故を起こしたなら注意力が足りないという事。感情論では何も解決しません。

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