加古川の特養 介護施設に賠償命令
特別養護老人ホームで車いすを利用中に他の利用者の女性に押されて転倒し重傷を負ったのは、施設が安全配慮義務を怠ったためなどとして、加古川市の女性=当時(92)=とその家族二人が、施設を経営する社会福祉法人「順心福祉会」と医療法人社団「順心会」を相手取り、慰謝料など約千五百万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が、このほど大阪高裁であった。
横田勝年裁判長は「加害女性には認知症があり、日ごろから施設職員への暴力行為があった。事故の発生は予見できた」として、請求を棄却した一審の神戸地裁姫路支部判決を変更し、同法人に約一千万円の支払いを命じた。
判決によると、原告の女性は二〇〇二年十一月、ショートステイ中の加古川市の特別養護老人ホーム「こすもす園」で、車いすに乗っていたところ、自分の車いすを使っていると誤解した九十代の加害女性に背後から押されて転倒。病院で顔面打撲などと診断されたが、事故の九日後、別の病院で左脚骨折が発覚。歩行困難になるなどの後遺症が現れ、身体障害者一級に認定された。
横田裁判長は「加害女性は職員の説得に納得せず、何度も被害者の車いすを揺さぶるなどしていた。施設側は被害者を他の部屋に移動させるなど安全を確保すべきだった」と判決理由を挙げた。原告側が、骨折を早期発見できなかったとして病院の注意義務違反を主張した点は認めなかった。
原告側の土居由佳弁護士は「介護施設の利用者間の暴力行為による負傷事件で、施設の安全配慮義務違反が認定されたのは画期的」としている。
利用者同士の間で起きたトラブルなのですが、
施設側の責任について、従来からみるとかなり厳しく追求されています。
社会的な介護施設に対する「逆風」が判決に与えた影響も少なからずはあると思いますが。
認知症があり、暴力行為があることから、
事故の発生は予見できたという判決ですが、
他の部屋に移動させたとしても、加害女性のその危険な行為がなくなるのか。
逆に認知症であるという点から、生活の場をころころと変えるのではなく、
慣れた環境・人々のなかで生活の基盤を築くことを優先したいという施設側の思いもあったのかもしれません。
この、安全配慮義務に対して過敏になった施設が、
利用者の自由を奪うようなことがないことを願いますが。
ウェブサイトを見る限り、かなり大きな法人さんですね。
もちろん、事件に関することは何も記載がありませんでしたが。
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