横須賀市、指定取り消し判断を誤りだったと返還された介護報酬を返す。

横須賀市役所

ちょっと不思議なニュースです。

横須賀市、指定取り消しを取り消し


 横須賀市は十八日、デイサービスなど二事業所の介護保険法に基づく指定を取り消す処分をしたのは誤りだったとして、運営者の医療法人社団「清光会」(逗子市)に返還させた介護報酬など約千九百万円を来月までに返すと発表した。
 清光会は二〇一四年十二月、横須賀市からデイサービスと居宅介護支援事業所の指定を受け、同市湘南国際村で事業を開始。市は一八年三月、申請書類に虚偽の記載があったなどとして指定を取り消した
 清光会は同年六月、行政不服審査法に基づき、市に審査を請求した。市は弁護士から「一六年二月に虚偽記載をほぼ把握しながら処分まで時間が空いたのは合理的な理由がない」という趣旨の指摘を受けたのを踏まえ、取り消しを決めた。
 自治体の指定取り消しが民事訴訟などで違法と判断されるケースはあるが、自ら判断を覆すのは珍しい。市の担当者は「慎重に調査した結果、(処分まで)時間がかかった」と釈明。清光会の横山志郎理事長は「私たちの主張が通って、名誉が回復されて良かった」とのコメントを出した。

「横須賀市、自ら判断覆す 「介護指定取り消し」は誤り 運営者に報酬返還へ」東京新聞WEB

市が行った指定取り消しを、市が自ら取り消すという、指定取り消しの取り消し

返還された介護報酬の返還

いったい何があったんでしょうか。

指定取り消しをめぐる経緯

まずはこの指定取り消しの取り消しに至る経緯を確認してみたいと思います。

2014年12月、指定申請。申請書類に虚偽記載

まず事業所が指定申請を行ったのが2014年12月。居宅介護支援事業と通所事業です。

居宅介護支援では勤務する予定のないケアマネ管理者の名前を記載して、通所でも必要な看護職員や機能訓練指導員の確保ができておらず、勤務表を虚偽作成していたとされています。

その後、居宅介護支援事業所では2015年1月から9月まで、課題分析(アセスメントのことか)を行わずにケアプランを作成したり、モニタリングを実施していないという状況があったとのことでした。

2016年2月、横須賀市が虚偽記載を把握

横須賀市はこの時点で申請書類の虚偽記載を把握していたようです。

ただ、指定取り消し処分などは行われませんでした。

2018年3月27日、指定取り消し

横須賀市は居宅介護支援事業所とデイサービスの指定取り消しを決定(4月1日付)。

そして、これまで受給したすべての介護報酬を不正受給とし、1900万の報酬返還を求めています

2019年2月18日、横須賀市、指定取り消しは誤りだったと発表。指定取り消しの取り消し。

ところが、横須賀市は今回、自ら指定取り消しが誤りだったと認め、指定取り消しを取り消し、返還された1900万円の介護報酬を返還することを発表しました。

まったく不思議なニュースです。

以前の指定取り消しの記事はこちらにあります。

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そもそもなぜ指定取り消しが2018年に行われたか?

そもそも疑問なのは、不正が行われていたのが指定申請を行った2014年12月でモニタリングなど運営基準違反をしていたのがそれから9月までの間。

指定取り消しが行われたのが2018年。

2016年2月には虚偽申請の事実を知っていながら、事業所の営業は継続させて、2018年に指定取り消しをし、それまでの介護報酬もすべて返還させています。

2016年2月に指定取り消しをしていれば、1900万円にまでふくれあがることもなかったでしょうし、その間の人件費や設備維持費などの負担もなかったはずで、この時点で指定取り消しを行うというのは非常に不可解です。

医療法人の甘えが招いた指定取り消し?

虚偽申請による指定取り消しの決定だったわけですが、事業所の設置主体は医療法人社団清光会。

クリニック・老健・有料老人ホームも持っています。

人員基準は満たせるから、とりあえず法人内のスタッフの名前で指定申請の書類を作ったのかもしれませんし、予定が変わって人事異動などがあったのかもしれません。

もちろん、それであればその時点で変更の書類を提出しなければいけないのですが、そういったことができていなかった。

けれど、それだけですべての報酬返還というのは行き過ぎではないかと。正直、

「ヤクザかよ」

と思います。

限られる透析患者の受け入れ先

清心会といえば神奈川の人は知っている人も多いと思いますが、介護老人保健施設セアラ逗子、有料老人ホーム葉山湘南国際村ライフセンターという施設で、透析患者を中心に受け入れています。

透析患者は自宅で生活できなくなった場合、特別養護老人ホームなどでも受け入れが難しいというのが大きな問題でした。

透析のクリニックで送迎するにしても、施設側で送り出しや受け入れをすることや、常時介護が必要な状態ではクリニックも受け入れが難しいため特養の職員が付き添いを頼まれるということもあります。

要介護状態になった透析患者の住まいの問題は非常に深刻化している中、透析患者の受け入れを行っている清光会の存在は市内にとどまらず横浜など近隣市からも知られ、利用者がやってきます。

ここからは一部推測ですが、関係団体からの働きかけが横須賀市にあったんじゃないかなと思います。いや、推測ですよ。推測。

ということで、指定申請の書類のせいで今まで受けた介護報酬、全部返還しろなんて言われないように、一度見直してみましょう。