介護職員のたん吸引、研修体系を了承- 厚労省検討会
厚生労働省の「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」(座長=大島伸一・国立長寿医療研究センター総長)は7月22 日、介護職員がたん吸引などを実施するに当たり、事前に受講する研修のカリキュラム案を了承した。厚労省はこれに基づいて省令案を策定、8月中にパブリックコメントを募集した上で、9月にも公布する予定。
一定の研修を受けた介護職員らがたん吸引などを行えるようになるこの制度は、6月に成立した改正社会福祉士及び介護福祉士法に盛り込まれており、来年度から施行される。
カリキュラム案によると、介護職員らが実施できるようになるのは、たん吸引(口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部)と、経管栄養(胃ろう、腸ろう、経鼻経管栄養)。これらを実施するためには、講義とシミュレーターを使った演習から成る基本研修と、施設や在宅などの現場でたん吸引などのケアを行う実地研修の両方を受講する必要がある=図=。ケアの対象者や職員の業務の必要性に応じて研修内容は異なる。
介護職員や既存の介護福祉士については、不特定多数の利用者を対象とする場合と、重度障害者など特定の利用者を対象とする場合に区別される。
このうち、不特定多数の利用者を対象とする場合はさらに、▽たん吸引と経管栄養について、対象となるすべての行為を行う▽気管カニューレ内を除くたん吸引と、経鼻以外の経管栄養を行う―の2類型に分けられる。どちらの場合も、基本研修として50時間の講義と演習を受講した上で、それぞれの類型で必要な実地研修を受ける。修了後に都道府県の認定を受ければ、登録された事業者でたん吸引などを実施できる。
一方、特定の利用者を対象とする場合は、重度訪問介護従事者養成研修と併せて20.5時間の基本研修と、その利用者に必要な行為についての実地研修を受ける。認定後は、その利用者に対してのみ、研修を受けた行為を実施できる。
また、2015年度以降に介護福祉士国家試験を受験する人については、専門学校などの養成機関で、受験までに基本研修を受講する。実地研修については「毎年十数万人もの受験者がいる」(厚労省担当者)ことから、資格取得後に登録された事業者で受けられる。取得前に実地研修を修了すれば、取得後にまた実地研修を受ける必要はない。
50時間という時間をどう考えるか。
1日8時間研修を受けたとして6日間あまりという、かなり長い時間の研修です。
ケアマネの実務研修でも7日間なので、それと同程度の研修内容と考えていいわけです。
当然ですが、現場の職員を全員この研修に出させるというのは難しい面もあり、
たん吸引のできるのが特定の職員に限定されるという形になるかと思います。
「たん吸引を容認する」という見方での意見が強かったこの改正ですが、
実際はグレーゾーンをなくし、
できる職員を限定するという「規制」の側面が極めて強いものとなっています。
たん吸引など、今回の改正での対象となっている行為を
日常的に介護職員が行っている施設としては反対意見も多いかと思います。
実際、それを行っていたからといって、
その行為自体で大きな事故などは起こっていないという自負も大きいでしょうからね。
まずは8月のパブリックコメントで意見を伝えていくことが大事ですね。
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