【社会保障審議会・介護給付費分科会】自立支援インセンティブ議論、要介護者の半分は自立にできる?

自立支援インセンティブ議論、要介護者の半分は自立にできる?

介護保険法改正・介護報酬改定への議論の行方。自立支援の在り方とは?

[介護] 自立支援に向けたインセンティブ付与などを議論 介護給付費分科会

●社会保障審議会・介護給付費分科会は8月23日、自立支援に向けた事業者へのインセンティブ付与や区分支給限度基準額、介護人材確保対策―について議論
○自立支援に向けたインセンティブ付与では、これまでの介護報酬改定でも利用者の状態改善に着目したアウトカム評価が導入されてきたものの、複数サービスを受けている場合はどのサービスが改善につながったのか見極めにくい、クリームスキミングが起きる可能性がある―などの問題を内包していることが指摘された
○次回および次々回は、関係団体からのヒアリングを実施することが決定

 社会保障審議会・介護給付費分科会は8月23日、自立支援に向けた事業者へのインセンティブや区分支給限度基準額、介護人材確保対策について議論した。

 自立支援に向けたインセンティブ付与では、▽自立の概念▽個別サービス事業所と個別サービスの質の評価についてストラクチャー、プロセス、アウトカムの観点から、どう考えるか▽インセンティブ付与の具体的方法論―が論点として提示された(p8参照)。
 介護サービスの質の評価はこれまでの介護報酬改定でも取り入れられてきた経緯があり、それらは、着目点で(1)ストラクチャー(【看護体制加算】など、人の加配の評価)、(2)プロセス(要介護度別の基本報酬、訓練の実施などの評価)、(3)アウトカム(リハビリテーションにおける【社会参加支援加算】、老人保健施設における【在宅復帰・在宅療養支援機能加算】など)―の3つに大別できる(p25参照)。介護給付費分科会の過去の議論では、効率的・効果的な介護サービス提供を促す方策としては、3つのうち、利用者の状態改善などに着目したアウトカム評価が最適、との結論に至っている。しかしながら、アウトカム評価についても、利用者の多くは複数のサービスを組み合わせて受けているため、どのサービスが状態の改善につながったのか見極めにくい、事業者がアウトカム改善の見込まれる高齢者を選別する、いわゆる「クリームスキミング」が起こる可能性がある―などのデメリットを指摘する声がある(p5参照)。

さて、介護保険・そしてこの国の介護の形の行く末を決める注目の社会保障審議会・介護給付費分科会ですが、
自立支援による事業所へのインセンティブ付与についての議論が行われています。

第145回社会保障審議会介護給付費分科会資料

このなかの、資料1 介護サービスの質の評価・自立支援に向けた事業者へのインセンティブ(PDF:139KB) に記載されているのがその内容になります。

これまで、要介護度の改善にインセンティブを自治体独自で付与していた事例はありましたが、
介護報酬においては、介護度が減ることによって事業者が受け取ることのできる報酬単価は減るというディスインセンティブが生まれており、
そこを改善し、要介護度を改善させた事業者にインセンティブを付与すべきという意見です。
それ自体、わからなくもない。

ただ、その指標が要介護度となると話は全く別物です。
要介護度の決定プロセスにおいて、認定調査の調査票が基準になっていることから、
調査員がそれを不正に操作する可能性は高く、
さらに、行政の調査であったとしても不必要な区分変更が何度も繰り返されるおそれもあります。
調査員の質やばらつきの大きい認定調査を基準や、患者もろくに見ずにコピペで提出する主治医意見書。
現場の人間はみんなわかっていますよ、こんないい加減な要介護認定という仕組みは信頼するに値しないものだと。

そもそも介護にかかる手間を時間軸に置き換えた要介護度という基準が、
本当にその人の自立をあらわす指標として適切なのか、大いに疑問です。

これに関しては

「自立」には▼心身機能・身体構造▼活動・参加—の両面からのアプロ―チが必要で、「要介護度の改善」のみを指標としたインセンティブ付与などは好ましくない—。

という意見が参加者の中でも一致しているようです。

だったら要介護度なんてものそもそもやめてしまえと心の中では思ってます。

そもそも自立ってなに?

そもそも自立とは何でしょう
介護保険は自立支援のための制度であるといいながらも、
じゃあ介護保険における自立って何といわれても明確な答えが出せていない。
それが今行われていて、これからの介護の在り方を決める社会保障審議会・介護給付費分科会です。

今回の資料の中でも、最後のページの論点として、

「自立」の概念について、どのように考えるか。

と記載されています。

今からそれを考えていかなければいけないというのはタイムリミットが迫る中ででかすぎるテーマじゃないですか?

要介護の方の半分は自立にできる?

さて、この自立支援インセンティブについてですが、
参考資料に以下のようなものがこの会議に提出されています。

参考資料 インセンティブ議論

これにはインセンティブ議論にからめて、平成28年11月の未来投資会議での竹内孝仁 国際医療福祉大学教授の発言が掲載されています。

まず、自立支援介護、ちょっと耳なれない言葉だと思います。これの説明なのですが、一旦要介護になった人をもう一度自立状態に引き戻す介護でございまして、従来のものとは方法と理論が異なる新しい介護だと御理解いただきたいと思います。どれぐらい戻れるのかということ、これまでの実績から大ざっぱに検討してみると、現在の要介護者の約半数ぐらいは、要するに、半減ぐらいはできそうだと私は予想しているのですが、そのための仕組みづくりをこれからすごくやっていかないといけないということになります。

ん?

要介護者の約半数は自立にできる。
要介護度を改善するではなく、自立状態に引き戻す。

・・・
こんな胡散臭いおっさんの言うことを真に受けて資料にするなんてどうかしています。

この発言をした竹内孝仁教授って、いわゆるおむつゼロ運動の提唱者で

水分:1日1500ml
栄養:1日1500kcal
運動:1日2km
便通:3日以内の自然排便

という自立支援介護のルールを守っていれば認知症にならないし、おむつも必要なくなるそうです。

全国に竹内理論の信奉者はたくさんいるわけなので、
あまりなんやかんや言うと叩かれそう。

ただ、竹内理論の弊害として、
・無理やり詰め込まれる食事介助、
・強制的な水分摂取で心不全の悪化、
・排便するまで30分でもトイレに放置、
といった悲惨な報告も多数ネット上で見かけました。

個別的なアセスメントはどこに行った。

でも、この資料の中にこの竹内教授の発言が掲載されていることに、正直戦慄しています。
この発言のあった未来投資会議は内閣総理大臣が議長となっている会議です。

きっと会議の参加者はこれで介護の問題の大半は解決できると思っていることでしょうし、
どうあがいてもこの方向性で進んでいくのだろうなと。

こうしてこの国の介護の在り方は決められていくんです。どう思います?